資金調達率アービトラージのやり方と手順
ぜんたいの流れ(4段)
- 1. 2つの取引所に資金を置く 片方に寄せては置けません。片方の含み益で、もう片方の不足を埋めることもできません。
- 2. 高いほうで売り、低いほうで買う 同じ銘柄・同じ金額・同時に。資金調達が高いほうの取引所で売ります。
- 3. 持って受け取る 値動きは2つの側で打ち消し合い、資金調達の差だけが残ります。
- 4. 両側を同時に閉じる 片方だけ残すと、値動きに賭けているのと同じ状態になります。
費用がかかるのは 1 と 4(建てるときと閉じるとき)です。当サイトが並べているのは、それを引いた後の手取りです。
2つの取引所で同じ銘柄を売りと買いに分けて同時に持ち(両建て・デルタニュートラル)、値動きを打ち消したうえで資金調達率(ファンディングレート)の差だけを受け取る——この形を実際に組むときの手順をまとめています。例として、BTC・ETH・SOL などの無期限先物(perp)を Binance・Bybit・OKX・Hyperliquid などのうち 2 つの取引所で持つ形です。
このページは手順の型だけを書きます。いくらから始めるか・どの水準で入るか・何倍までかけるか・どこで利益を確定するかは書きません。当サイトは投資助言を行わず、口座開設の取次ぎもしません。
始める前に要るもの
- 2つの取引所の口座 — 片方だけでは組めません。当サイトが比べているのは海外取引所を多く含み、居住地によっては口座を作れないことがあります。
- 両方への入金 — 資金は取引所ごとに分かれています。片方の含み益で、もう片方の証拠金不足をその場で埋めることはできません。片側に寄せて置くことはできません。
- 取引所どうしで資金を動かす手段 — 片方が不足したときに送る必要があります。送金には時間と費用がかかり、当サイトの数字にこの費用は入っていません。
- 現物を担保に借りる形を使う場合は、信用取引の口座と借入の枠 — 一覧で「現物マージン」と付いている行がこれにあたります。この側では資金調達を受け取らず、代わりに借入金利を払い続けます。
本人確認が要るかは取引所によって違います。取引所の種類(分散型か中央集権型か)をご覧ください。
先物どうしを組む手順
- 組み合わせを決める — 一覧の行を開くと、どちらの取引所で売り、どちらで買うかが出ています。同じ銘柄でも取引所ごとに呼び名が違うことがあるので、詳細画面に出ている銘柄名で確認します。
- 両方の取引所に、必要な証拠金を入れる — 片方に寄せて置くことはできません。
- 資金調達が高いほうの取引所で売る(ショート)。
- 低いほうの取引所で同じ数量を買う(ロング)。数量を揃えないと値動きが打ち消されません。数量が違う分だけ、値動きの影響がそのまま残ります。
- 両方が約定したことを確かめる — 片方だけ約定した状態は、値動きをそのまま受ける裸の持ち高です。
★片方が約定して片方が約定しないのがこの形でいちばん危ないところです。板が薄い銘柄ほど起きやすくなります。
現物を買って先物を売る手順
利回りヘッジに並んでいるのはこの形です。先物どうしと違い、現物側で利息を受け取り、先物側で値動きを打ち消します。
- 現物を買う — 貸暗号資産(レンディング)やステーキングに回すことで利息を受け取ります。
- 同じ銘柄の無期限先物を、同じ数量だけ売る — これで値動きが打ち消されます。
- 先物側の証拠金に余裕を持たせる — 値上がりすると先物の売り側は含み損になります。現物側が同じだけ含み益でも、証拠金は別勘定なので救えません。
現物側を貸し出している場合、引き出しに待ち時間があることがあります。先物側が急に証拠金を必要としたときに間に合わないことがあります。
保有中に見るところ
- 実際に受け渡された記録 — 取引所の履歴に、間隔ごとの受け払いが並びます。受け取る側にいるはずなのに払っているなら、率の符号が変わっています。
- 証拠金の余裕 — 値動きで片側が含み損になります。余裕が減ったら、その取引所へ資金を送るか、両側を縮めます。
- 率の向きが入れ替わっていないか — 一覧の安定は、同じ取引所がずっと高いほうだった割合です。見方はこちら。
- 銘柄の取扱いが終わらないか — 取引所が上場を終了すると、その側は強制的に閉じられ、反対側だけが残ります。
手仕舞い
両側を同時に閉じるのが前提です。片側だけ閉じると、残った側が値動きをそのまま受ける裸の持ち高になります。普通の取引の感覚で「損が出ているほうを切る」と、打ち消しが壊れます。
現物を買って先物を売る形では、先に先物の売りを買い戻し、次に現物を売るのが安全です。逆にすると、現物を手放してから先物の売りだけが残る時間ができます。
閉じるときにも売り買いの費用がかかります。一覧の「コスト往復」は建てと閉じの両方を含んだ数字です。
よくある失敗と、負ける理由
この形で損が出るときは、たいてい値動きを当て損なったからではありません。打ち消しが壊れたか、費用が受け取りを上回ったかのどちらかです。
- 手数料負け — 往復の費用を取り返す前に閉じると、受け取りが費用に届かないまま終わります。1回の売り買いの費用を受け取りで取り返すのに何日かかるかは、一覧のコスト回収(損益分岐の日数)に出ています。短く出入りを繰り返すほどこれに当たります。日数の出し方。
- 板が薄い銘柄で組む — 建てるときも閉じるときも、思った値段から離れて約定します。当サイトの費用の見積もりは板の厚みから測っているので、薄い銘柄ほど費用が大きく出ます。
- 片側だけ強制決済される — 倍率をかけていた側が先に飛ぶと、残った側は値動きをそのまま受ける裸の持ち高になります。資金は取引所ごとに分かれているので、もう片方の含み益でその場を凌ぐことはできません。
- 差が逆転したのに持ち続ける — 高かったほうの取引所が低くなると、受け取りが払いに変わります。一覧の安定は、その入れ替わりが過去にどれだけ無かったかの記録で、これから起きないという意味ではありません。
- 数量を揃えない — 揃っていない分だけ値動きの影響が残ります。
- 片側だけ約定した状態で放置する — 板が薄い銘柄ほど起きます。
- 片側だけ損切りする — 打ち消しが壊れます。普通の取引の感覚で「損が出ているほうを切る」と、残った側が裸になります。
- 証拠金を片方に寄せる — 片方の含み益は、もう片方の不足を埋められません。
- 送金の時間を見込まない — 片方が不足してから送っても間に合わないことがあります。
このページの立場
当サイトは公開データの閲覧用で、投資助言ではありません。発注機能はなく、口座にも API キーにも接続せず、口座開設の取次ぎもしません。上に書いたのは手順の型であって、「やるべきだ」という勧めではありません。免責事項 · 読むときの注意。
よくある質問
画面に出ている銘柄名と、取引所で探すときの名前が違うことがあります。どちらで注文しますか?
注文は、当サイトの画面の銘柄名ではなく、その取引所での銘柄名で出します。
当サイトは共通の名前で並べていますが、その取引所での呼び名が違うときだけ、売り/買いの取引所名のとなりに、その取引所での銘柄名を小さく薄い字で添えます(同じときは何も出ません)。その小さい名前が、取引所の画面で探す名前です。
2つの注文を、このサイトからまとめて出せますか。片方だけ約定したらどうなりますか?
出せません。当サイトに発注機能はなく、注文は2つの取引所で、ご自身が1つずつ出します。
そのため、2つが約定するまでには必ず時間差ができます。その時間差のあいだ、そして片方だけ約定したまま残った状態は、値動きをそのまま受ける裸の持ち高で、板が薄い銘柄ほど起きやすくなります。両方が約定したことを確かめるまでが1つの手順です。
「同じ数量」とは、枚数を揃えるのですか、金額を揃えるのですか?
2つの取引所で揃えるのは、金額ではなく数量(枚数)です。
揃っていない分は打ち消されず、その差の分だけ値動きの影響がそのまま残ります。ただし2つの側は同じ銘柄で、取引所どうしの値段の差はごくわずか(当サイトは数%動く値幅に対して無視できる大きさとして扱っています)なので、数量を揃えれば建てた金額もその差の範囲でほぼ揃います。当サイトの倍率も、両方の側に同じ金額を建てた前提で計算しています。
どれくらい持てばいいですか。費用は何日で取り返せますか?
いつ閉じるかは当サイトでは書かず、目安になる日数だけを出しています。
一覧の「コスト回収」は、建ててから閉じるまでの費用(「コスト往復」の数字)を、毎日受け取れる差額で取り返すのに必要な日数です。
- 受け取れる差額が過去15日の平均まで薄まる前提で計算するので、いま上振れしている行は長めに出ます。
- 取り返せないときは「取り返せません」と出ます。短期では割に合わないという意味です。
片方の取引所の証拠金が減ってきました。あとから足せば間に合いますか?
間に合うとは限りません。資金は取引所ごとに分かれていて、動かすのに時間がかかります。
一覧の「強制決済されない倍率の上限」も、勝っているほうの取引所から負けているほうへお金を移すのに半日かかり、そのあいだ追加の証拠金を送れない、という前提の数字です。直近30日のうち、どこか12時間のあいだに起きた最悪の逆行に耐えられたかを見ています。
- 銘柄ごとに証拠金を分ける設定を前提にした、安全側の値です。
- 過去にそうだったという記録で、上限ではありません。これを超える値動きは普通に起こります。
片方の取引所だけが強制決済されたら、どうなりますか?
そこで打ち消しが終わり、残るのは値動きをそのまま受ける、片側だけの持ち高です。
買う側は値下がりで、売る側は値上がりで強制決済されるので、同じ値動きで危ないのはいつも片方だけです。しかも証拠金は2つの取引所に分かれていて、そのときもう片方に積み上がっている利益は、必要な場所にはありません。移すには半日ほどかかり、そのあいだ証拠金は送れません。一覧の「強制決済されない倍率の上限」が測っているのはここで、直近30日のどこか12時間で起きた最悪の逆行に、それぞれの側が単独で耐えられたかどうかです。過去にそうだったという記録であって、上限ではありません。片側が飛んだあと何をするかは、当サイトでは書きません。
- 残った側を閉じるまで、値動きはその側に丸ごと効きます。
- 片方の取引所がその銘柄の取り扱いをやめたり、サービスを終えたりした場合と同じ形です(どちらも片側が消えます)。
アービトラージで手数料負けするのは、どんなときですか?
受け取った差が、建てて閉じる費用に届く前に閉じたときです。
費用は建てるときと閉じるときに一度きりでまとまってかかり、受け取りは受け渡しのたびに少しずつなので、この2つの競争になります。「コスト回収」の日数は、今のペースでその競争に何日かかるかです。費用は1万ドルの注文で見積もっているので、金額が小さいほど手数料の割合は重くなり、実際はこの日数より長くかかります。取引所どうしで資金を動かす費用と税金は、どちらの数字にも入っていません。
- その行の「コスト回収」に出ている日数より前に閉じたとき:費用は満額かかるのに、取り戻せているのはその一部だけです。
- 持っているあいだに向きが入れ替わったとき:受け取りがマイナスに転じることがあります。
- 片方だけが約定して、もう片方を不利な値段で追いかけたとき。
口座を用意するとき、中央集権型(CEX)と分散型(DEX)では何が違いますか?
中央集権型(CEX)と分散型(DEX)では、取引を始めるのに何が要るかと、資産を誰が持つかが違います。
当サイトは画面に出している取引所を、ウォレットをつなぐだけで取引できるか・本人確認が要るか・資産を自分で持ったままか、の3点で分けています。判断は取引所自身の名乗りではなく、各社の技術文書に書かれている内容によります。ペアの2つの側が同じ種類である必要はありません。どの取引所がどれかは、「言葉の意味と数字の読み方」の「取引所の種類」に並べています。
- 分散型取引所(DEX):ウォレットをつなぐだけで取引でき、資産は自分で持ったままです。
- 中央集権型取引所(CEX):口座開設と本人確認が必要で、資産は取引所が預かります。
- 中間型:条件は取引所ごとに違い、口座開設が要るのに資産は自分で持ったまま、という形もあります。
この戦略を始めるには、事前に何が要りますか
資金調達率アービトラージを始めるには、2つの取引所の口座と、両方に同時に置いておくお金が要ります。
両側は取引所ごとに別々に建てるので、建てている間、片方の口座からもう片方へ資金を回すことはできません。この画面の数字では分からないことが2つあります — いま見えている差が1週間後も在るかどうかと、片方ずつ見ると損に見える建玉を2つ抱えている状態がどう感じられるかです。
これはデルタニュートラルな運用ですか(値上がり・値下がりを当てにしないという意味で)
はい。同じ量を反対向きに持つので値動きが打ち消し合い、残るのは資金調達の差だけです(=デルタニュートラル)。
デルタとは、値段が1動いたときに持ち高がいくら動くかのことです。同じ量を買いと売りで持てば2つのデルタが打ち消し合うので、値段そのものからは得も損もしません。資金調達の差を「ノイズではなく収益」として読めるのはこのためです。ただしノーリスクという意味ではありません。打ち消し合うのは両側を持っているあいだだけで、片側が強制決済されたり、上場廃止になったり、約定が遅れたりすれば、その間は値動きをそのまま受けます。