2つの取引所で同じ銘柄を売りと買いに分けて同時に持ち、値動きを打ち消したうえで資金調達率(ファンディングレート)の差だけを受け取る——この形を実際に組むときの手順をまとめています。
このページは手順の型だけを書きます。いくらから始めるか・どの水準で入るか・何倍までかけるか・どこで利益を確定するかは書きません。当サイトは投資助言を行わず、口座開設の取次ぎもしません。
始める前に要るもの
- 2つの取引所の口座 — 片方だけでは組めません。当サイトが比べているのは海外取引所を多く含み、居住地によっては口座を作れないことがあります。
- 両方への入金 — 資金は取引所ごとに分かれています。片方の含み益で、もう片方の証拠金不足をその場で埋めることはできません。片側に寄せて置くことはできません。
- 取引所どうしで資金を動かす手段 — 片方が不足したときに送る必要があります。送金には時間と費用がかかり、当サイトの数字にこの費用は入っていません。
- 現物を担保に借りる形を使う場合は、信用取引の口座と借入の枠 — 一覧で「現物マージン」と付いている行がこれにあたります。この側では資金調達を受け取らず、代わりに借入金利を払い続けます。
本人確認が要るかは取引所によって違います。取引所の種類(分散型か中央集権型か)をご覧ください。
先物どうしを組む手順
- 組み合わせを決める — 一覧の行を開くと、どちらの取引所で売り、どちらで買うかが出ています。同じ銘柄でも取引所ごとに呼び名が違うことがあるので、詳細画面に出ている銘柄名で確認します。
- 両方の取引所に、必要な証拠金を入れる — 片方に寄せて置くことはできません。
- 資金調達が高いほうの取引所で売る(ショート)。
- 低いほうの取引所で同じ数量を買う(ロング)。数量を揃えないと値動きが打ち消されません。数量が違う分だけ、値動きの影響がそのまま残ります。
- 両方が約定したことを確かめる — 片方だけ約定した状態は、値動きをそのまま受ける裸の持ち高です。
★片方が約定して片方が約定しないのがこの形でいちばん危ないところです。板が薄い銘柄ほど起きやすくなります。
現物を買って先物を売る手順
利回りヘッジに並んでいるのはこの形です。先物どうしと違い、現物側で利息を受け取り、先物側で値動きを打ち消します。
- 現物を買う — 貸暗号資産(レンディング)やステーキングに回すことで利息を受け取ります。
- 同じ銘柄の無期限先物を、同じ数量だけ売る — これで値動きが打ち消されます。
- 先物側の証拠金に余裕を持たせる — 値上がりすると先物の売り側は含み損になります。現物側が同じだけ含み益でも、証拠金は別勘定なので救えません。
現物側を貸し出している場合、引き出しに待ち時間があることがあります。先物側が急に証拠金を必要としたときに間に合わないことがあります。
保有中に見るところ
- 実際に受け渡された記録 — 取引所の履歴に、間隔ごとの受け払いが並びます。受け取る側にいるはずなのに払っているなら、率の符号が変わっています。
- 証拠金の余裕 — 値動きで片側が含み損になります。余裕が減ったら、その取引所へ資金を送るか、両側を縮めます。
- 率の向きが入れ替わっていないか — 一覧の安定は、同じ取引所がずっと高いほうだった割合です。見方はこちら。
- 銘柄の取扱いが終わらないか — 取引所が上場を終了すると、その側は強制的に閉じられ、反対側だけが残ります。
手仕舞い
両側を同時に閉じるのが前提です。片側だけ閉じると、残った側が値動きをそのまま受ける裸の持ち高になります。普通の取引の感覚で「損が出ているほうを切る」と、打ち消しが壊れます。
現物を買って先物を売る形では、先に先物の売りを買い戻し、次に現物を売るのが安全です。逆にすると、現物を手放してから先物の売りだけが残る時間ができます。
閉じるときにも売り買いの費用がかかります。一覧の「コスト往復」は建てと閉じの両方を含んだ数字です。
よくある失敗
- 数量を揃えない — 揃っていない分だけ値動きの影響が残ります。
- 片側だけ約定した状態で放置する — 板が薄い銘柄ほど起きます。
- 片側だけ損切りする — 打ち消しが壊れます。
- 証拠金を片方に寄せる — 片方の含み益は、もう片方の不足を埋められません。
- 短く出入りを繰り返す — 1回の売り買いの費用を、受け取りで取り返すのに日数がかかります。一覧のコスト回収がその日数です。
- 送金の時間を見込まない — 片方が不足してから送っても間に合わないことがあります。